「評価制度を作れば、社員は本当に成長するのでしょうか。」
経営者になってから、この問いを何度も自分に投げかけてきました。
人事考課制度を導入する目的は、社員を評価することではありません。
私が本当に実現したかったのは、
「人が成長できる環境をつくること」
でした。
そして先日、半年に一度の技術評価を実施しました。
アクトでは、技術習得のための定量シートを運用しています。
感覚ではなく、何ができるようになったのかを一つひとつ確認していく仕組みです。
評価を終えて最初に感じたことがあります。
それは、
「社員の成長は、自分が想像していた以上だった」
ということです。
もちろん、課題がなくなったわけではありません。
まだまだ成長途中です。
しかし、一人ひとりが確実に前へ進んでいました。
私は改めて、
「人は成長したい生き物なのかもしれない」
と感じました。
建設業界では、
「見て覚えろ」
という文化が今でも残っている会社があります。
もちろん、その中で身につく力もあります。
しかし私は、自分自身の経験から別の考えを持つようになりました。
若い頃の私は、中卒で建設業界に入りました。
何を覚えればいいのか分からない。
どこまでできれば一人前なのか分からない。
怒られる理由も分からない。
そんな毎日でした。
だからこそ会社を経営する立場になってから決めたことがあります。
「成長の道筋を見えるようにしよう。」
これが今の人事考課制度や技術習得チェックリストにつながっています。
アクトでは、メンバークラスだけでも五段階の成長テーマがあります。
いきなり難しい技術を求めることはありません。
まずは安全です。
高所エリアのルール。
脚立の使い方。
玉掛け作業のルール。
安全具の正しい使用方法。
現場では当たり前のことかもしれません。
しかし、その「当たり前」を確実に身につけることが、技術者として長く活躍するための土台になります。
その上で、
工具を覚える。
材料を覚える。
施工方法を覚える。
品質を理解する。
少しずつできることを増やしていきます。
今回の評価で印象的だったことがあります。
評価シートを見返していると、多くの社員が一歩ずつ確実に前へ進んでいました。
劇的な変化ではありません。
昨日できなかったことが、今日はできる。
半年前には任せられなかったことが、今では任せられる。
その積み重ねが数字として表れていました。
経営者として、これほど嬉しいことはありません。
私は以前、
「人は評価されるために働く」
と思っていた時期がありました。
しかし今は違います。
人は、
「成長を実感できるから頑張れる」
のではないかと考えています。
もちろん評価も大切です。
しかし評価は目的ではありません。
成長を確認するための一つの手段です。
だからアクトでは、
「何ができれば次のステップへ進めるのか」
を明確にしています。
未経験者の方が面接で安心したと言ってくださる理由も、そこにあるのだと思います。
実際に、
「現場へ出る前に研修があると聞いて安心しました」
という声をいただいたことがあります。
この言葉は、私にとって非常に印象に残っています。
建設業界は、
「現場で覚える」
というイメージを持たれることが少なくありません。
しかし、いきなり現場へ出ることに不安を感じる人がいるのは当然です。
だからアクトでは、現場へ出る前の研修を大切にしています。
安全を学ぶ。
会社の考え方を学ぶ。
工具を学ぶ。
評価制度を知る。
そして、
「何を目指せばいいのか」
を理解してから現場へ入ります。
私は、これが未経験者にとって大きな安心につながると考えています。
今回の評価を通じて、もう一つ感じたことがあります。
それは、
成長する社員には共通点があるということです。
特別な才能ではありません。
実行することです。
教わったことを試す。
指摘を改善につなげる。
分からないことを質問する。
失敗しても次に生かす。
そうした行動を積み重ねている人ほど、大きく成長しています。
逆に、
知っているだけでは成長しません。
だからアクトの評価制度では、
知識よりも「実際にできるか」を重視しています。
現場で実践できること。
仲間と協力できること。
安全を守れること。
お客様のために品質を高めようと行動できること。
そうした姿勢が評価につながります。
私は、技術者を育てたいだけではありません。
人として成長できる環境をつくりたいと思っています。
技術は、人を幸せにするためにあります。
インフラを支えるためにあります。
お客様の困りごとを解決するためにあります。
だからこそ、
技術だけではなく、
人間性も一緒に育てていきたい。
それがアクトの育成方針です。
今回の評価で見えた社員一人ひとりの成長は、会社としての成果でもあります。
しかし、それはゴールではありません。
ここからまた新しい目標が始まります。
昨日より今日。
今日より明日。
一歩ずつでも成長を続けること。
その積み重ねが、強い組織をつくり、質の高い施工を生み、お客様からの信頼につながる。
私はこれからも、その成長を支える仕組みづくりに本気で取り組んでいきます。