NEWS/BLOG

安全と効率、どちらを選ぶのか?全社員で考えた「効果的 な判断」と近道行為をなくす組織づくり

今回は、株式会社アクトが全社員で実施した安全衛生協議会を通じて考えた「効果的な判断」についてお伝えします。効率だけを優先した近道行為がなぜ不安全につながるのか。
そして、自社・顧客・社会にとって長期的・本質的・客観的に正しい選択をするために、私たちが大切にしている判断基準をご紹介します。

代表の佐々木です。

先日、アクトでは社員全員に集まってもらい、1日をかけて安全衛生協議会を行いました。

安全ルールを確認するだけの1日にはしませんでした。

今回、みんなで考えたかったことがあります。

それは、

「私たちは、何を基準に判断するのか」

ということです。

現場では、毎日たくさんの判断があります。

予定通り進めるのか。

一度作業を止めるのか。

確認するのか。

そのまま進めるのか。

人を増やすのか。

応援を求めるのか。

やり直すのか。

お客様や元請会社へ相談するのか。

そして、その判断の積み重ねが、安全にも品質にも結果にもつながります。

だから私は、個別のルールを覚えることだけでなく、

判断の質そのものを高めることが重要

だと考えています。

結論。「効率的」より「効果的」を選ぶ

今回、社員のみんなへ伝えた判断基準の一つが、

「その選択は効果的か?」

という問いです。

効率的であることを否定しているわけではありません。

仕事を早くする。

無駄をなくす。

生産性を上げる。

手戻りを減らす。

どれも会社として大切です。

しかし、

「効率的」と「効果的」を天秤にかけなければならない場面では、アクトは効果的な方を選ぶ。

これを大切にしたいと思っています。

なぜなら、目の前の効率を優先することで、長期的な目的から外れてしまうことがあるからです。

特に建設現場では、その判断が安全に関わることがあります。

「早い」と「正しい」は同じではない

例えば、

「これくらいなら確認しなくても大丈夫だろう」

「いつもやっているから大丈夫だろう」

「少しだけだから、この手順は省いてもいいだろう」

「面倒だから、先に進めてしまおう」

一つひとつを見ると、ほんの小さな判断かもしれません。

そして、その瞬間だけを見れば、効率的に見えることがあります。

確認しなければ早い。

準備を省けば早い。

安全措置にかける時間を短縮すれば、作業時間だけを見れば短くなるかもしれない。

でも、

その判断は本当に効果的なのでしょうか。

事故が起きたらどうでしょう。

品質不良が発生したらどうでしょう。

やり直しになったらどうでしょう。

お客様へ迷惑をかけたらどうでしょう。

会社として信用を失ったらどうでしょう。

その瞬間の数分を短縮するために、もっと大きなものを失ってしまえば、それは私たちが求める成果ではありません。

近道行為は、事故の原因のもと

私は以前から社員に、

「近道行為は、事故の原因のもと」

と伝えています。

近道をした本人も、

「事故を起こしたい」

と思っているわけではないでしょう。

むしろ、

早く終わらせたい。

予定に間に合わせたい。

周りへ迷惑をかけたくない。

仕事を効率良く進めたい。

そんな気持ちから生まれることもあると思います。

だから難しい。

悪いことをしようと思って選択しているとは限らないからです。

しかし、

目的が良くても、選択が正しいとは限りません。

だからこそ、その場の感覚だけではなく、会社として共通の判断基準を持つ必要があります。

そもそも「効果的」とは何か

今回の安全衛生協議会では、ここをかなり大切にしました。

「効果的な判断をしよう」

と言うだけでは、

「何が効果的なのですか?」

となります。

そこで、その前提にある「正しさ」について考えました。

私たちアクトにとっての正しい選択とは、

会社だけにとって都合がいい選択ではありません。

自社にとって良い。

お客様にとって良い。

そして社会にとっても良い。

そのうえで、

長期的に考える。
本質的に考える。
客観的に考える。

私は、こうした視点から判断することを大切にしています。

会社にとって良くても、お客様に悪ければ正しいとは言えない

例えば、会社の利益だけを考えれば、できるだけ手間を減らした方が良いかもしれません。

でも、それによってお客様へ必要な品質を提供できないのであれば、私は正しい選択だとは思いません。

反対に、

お客様から求められたことであっても、安全上問題があるのであれば、そのまま実行することが正しいとも限りません。

そして、

自社とお客様には都合が良くても、社会的に問題がある方法なら、それも私たちが目指す正しさとは違います。

だから、

自社・顧客・社会。

この三つを見る。

どれか一つだけではなく、できるだけ広い視点から考える。

これは、私が会社経営でも大切にしている考え方です。

短期的には得でも、長期的には損かもしれない

もう一つ重要なのが、

長期的に見る

ということです。

安全確認を一つ省く。

短期的には数分早く終わるかもしれません。

でも、その判断を会社として許していけば、

「これくらいなら大丈夫」

が少しずつ増えていきます。

それが会社の文化になったらどうでしょう。

一回だけの数分の話ではなくなります。

反対に、

少し時間がかかっても、安全確認を確実に行う。

必要な準備をする。

分からなければ確認する。

危険だと思えば止める。

短期的には非効率に見える場面があるかもしれません。

しかし長期的には、

事故を防ぐ。

手戻りを減らす。

品質を安定させる。

お客様から信頼していただく。

社員が安心して働く。

会社として継続して仕事を任せていただく。

こちらの方が、はるかに大きな成果につながる可能性があります。

だから、

短期的な効率ではなく、長期的な効果を見る。

これが重要だと思っています。

これはアクトだけの感覚的な話ではない

安全については、私たちの社内だけの考えで終わらせてはいけないと思っています。

厚生労働省が2026年5月に公表した2025年の労働災害確定値では、労働災害による死亡者は全国で700人。そのうち建設業は214人で、業種別では最も多くなっています。また事故の型別では「墜落・転落」による死亡が186人で最多でした。

死亡者数全体は過去最少まで減少しています。

これは大切な前進だと思います。

しかし、建設業で働く私たちにとって、214人という数字を「減ったから良かった」だけで見ることはできません。

その一人ひとりに人生があります。

家族があります。

仲間がいます。

だから安全について、

「これくらいでいい」

という終わりはないと思っています。

安全は、現場に入ってから考えるものでもない

厚生労働省も、建設工事の安全について、施工段階だけではなく設計・受注・工法選択など、できる限り前段階からリスクを考えることを推進しています。

また、リスクアセスメントとは、危険性・有害性を特定し、リスクを見積もり、優先度を設定し、必要な低減措置を決めて記録する一連の手順とされています。

私はここにも大切な考え方があると思っています。

事故が起きてから、

「次から気をつけよう」

では遅い。

作業する前に考える。

危険を予測する。

必要な対策をする。

そして、作業方法や状況が変われば、もう一度考える。

つまり、

安全とは、事故が起きた後の対応ではなく、事故が起きる前の判断の積み重ね

でもあると思います。

ルールを増やすだけでは、安全文化にはならない

もちろん、ルールは必要です。

アクトでも安全に関するルールがあります。

マニュアルもつくります。

基準も決めます。

安全教育も行います。

資格取得も進めます。

ヘルメットには安全を意識するための表示も取り入れています。

しかし私は、

ルールを増やし続ければ安全になる、

とは考えていません。

なぜなら、現場ではルールブックに書いていない状況も起こるからです。

そのとき最後に必要になるのが、

一人ひとりの判断

だと思っています。

だから「判断基準」を共有する

私は将来的に、

何かあるたびに、

「社長、どうしましょう?」

と聞かなければ動けない組織にはしたくありません。

もちろん、相談は大切です。

分からないことを勝手に判断する必要もありません。

でも、会社として何を大切にするのか。

安全とは何なのか。

品質とは何なのか。

お客様への価値とは何なのか。

どんな選択を正しいと考えるのか。

こうした判断基準を共有していけば、社員自身が考えられる場面は増えていくはずです。

今回の安全衛生協議会で、

「効果的かどうか」

をみんなで考えたのも、そのためです。

効率化そのものを否定しているわけではない

ここは誤解してほしくありません。

私は効率化を否定していません。

むしろ、無駄な仕事は減らしたいと思っています。

忘れ物を減らす。

手戻りを減らす。

マニュアルをつくる。

基準を統一する。

情報共有を改善する。

適切に役割分担する。

人の力を借りる。

こうした改善によって、安全や品質を落とさずに効率を高められるのであれば、どんどん取り組むべきです。

問題なのは、

安全や品質を削って効率をつくること

です。

効率化には、

「無駄をなくして効率を上げる方法」

と、

「必要なものまで省いて早くする方法」

があります。

この二つを同じにしてはいけないと思っています。

近道と改善は違う

これは、現場で非常に重要な違いです。

決められた安全手順を面倒だから省く。

これは近道です。

一方で、

「この作業方法なら安全性を維持したまま、もっと分かりやすくできるのではないか」

と検討し、必要な確認を行い、正式な基準として改善する。

これは改善です。

結果だけを見ると、どちらも「早くなった」かもしれません。

でも、プロセスが全く違います。

近道は、必要なものを勝手に削る。

改善は、目的を守ったまま、より良い方法を考える。

私は社員に、この違いを理解してほしいと思っています。

効果的な選択は、ときに面倒である

安全な方を選ぶ。

一度確認する。

作業を止める。

相談する。

やり直す。

人を増やす。

準備をし直す。

こうした選択は、その瞬間には面倒に感じることがあります。

でも、

「面倒かどうか」

を判断基準にしてはいけない。

「早いかどうか」

だけでもいけない。

私たちが考えるべきなのは、

目的に対して、その選択が効果的なのか。

だと思っています。

アクトにとって「成果」とは何か

例えば現場で、

予定より早く作業が終わった。

これは一つの成果かもしれません。

でも、

安全確認を省いて早く終わったのであれば、私はそれを良い成果とは考えません。

施工が完了した。

でも品質に問題があり、後からやり直しになった。

これも、本当の意味で完工したとは言いにくい。

だからアクトでは、

安全に終える。
必要な品質を満たす。
お客様へ価値を届ける。
約束を守る。

ここまで含めて成果を考えたいと思っています。

早さだけを評価してしまえば、人は早さを優先するようになります。

だから会社側も、

何を成果として評価するのか

を明確にする必要があります。

安全は「効率を下げるもの」ではない

安全対策について、

「手間が増える」

「時間がかかる」

と感じることもあると思います。

でも長期的に考えれば、安全と生産性は必ずしも反対ではありません。

事故が起きれば作業は止まります。

手戻りが起きれば、同じ仕事をもう一度することになります。

忘れ物があれば、取りに戻る時間が発生します。

基準が曖昧なら、人によってやり方が変わり、確認や修正が増えます。

だからアクトでも、

忘れ物が頻発したら仕組みを変える。

手戻りが多ければ原因を考える。

基準が曖昧ならマニュアルをつくる。

必要なら毎朝のルーティンへ組み込む。

こうした改善を行っています。

目の前の作業をただ早くするのではなく、

問題そのものが起きにくい仕組みをつくる。

私は、こちらの方が本当の意味で効率的であり、効果的だと思っています。

「なぜ」を理解して初めて判断できる

だからアクトの安全教育では、

「これを守ってください」

だけでは終わらせないようにしています。

なぜこの安全ルールがあるのか。

なぜこの方法なのか。

守らなければ何が起きる可能性があるのか。

そこまで伝える。

特に未経験で入社した社員は、危険そのものをまだ知りません。

知らない人に、

「自分で考えろ」

と言っても難しい。

まず正しい情報を渡す。

知る。

理解する。

行動する。

経験する。

そして、少しずつ自分で判断できるようになる。

私は以前から、

情報とは最大の武器

だと考えています。

正しい情報がなければ、自分を守ることはできません。

そして自分を守る知識がなければ、仲間を守ることも難しいと思っています。

「自分で考える」と「勝手にやる」は違う

自律した社員を育てたい。

これは私が強く考えていることです。

ただ、

「自分で考えてください」

という言葉を間違えると、

「自分の好きな方法でやっていい」

になってしまいます。

それは違います。

まず、守るべきルールがあります。

会社としての基準があります。

安全上、絶対に省いてはいけないものがあります。

そのうえで、

目的を理解し、

状況を考え、

必要なら相談し、

より良い選択をする。

これが、私が考える自律です。

迷ったら「誰にとって良いのか」を考える

判断に迷ったとき、今回共有した考え方は非常にシンプルです。

その判断は効果的か。

そして、

誰にとって良いのか。

会社だけか。

自分だけか。

お客様だけか。

できるだけ視野を広げる。

自社にとって。

お客様にとって。

社会にとって。

そして、

短期ではなく長期。

表面的ではなく本質。

自分の感情だけではなく客観的に見る。

私は、これを社員一人ひとりが考えられる会社にしたいと思っています。

120%の喜びと「効果的な判断」はつながっている

アクトの経営理念は、

「120%の喜びを提供する」

です。

お客様が持っている不満・不安・不足を解消し、求められているニーズへきちんと応える。

私はこれを、まず100%だと考えています。

そのうえで、

こちらから提案する。

先回りする。

もっと安心してもらえる方法を考える。

お客様がまだ気づいていない問題まで考える。

そこに20%の付加価値をつくる。

でも、その20%をつくるために安全を削るのであれば、本末転倒です。

安全は120%の中に後から足すものではありません。

安全は、100%を成立させるための土台です。

一日仕事を止めても、全社員で考えたかった

今回、安全衛生協議会には一日を使いました。

当然、その時間に通常業務を行うことはできません。

短期的な効率だけで考えれば、

「一日現場へ出た方がいい」

という見方もできるかもしれません。

それでも私は、

社員全員で安全や理念、判断基準について考える時間には価値があると思っています。

なぜなら、

今日一日の生産量だけではなく、

これから何年も使う判断基準を共有する時間

だからです。

これも、今回みんなで考えた「効率的」と「効果的」の違いそのものかもしれません。

判断の質が、仕事の質になる

技術を磨く。

資格を取得する。

マニュアルを整える。

設備を整える。

どれも重要です。

でも最後に、それらを使うのは人です。

そして人は、毎日判断します。

だから、

判断の質が上がれば、行動の質が上がる。
行動の質が上がれば、安全と品質が上がる。
安全と品質が上がれば、お客様へ届けられる価値が上がる。

私はそう考えています。

だからアクトでは、技術教育だけではなく、

「どう考えるか」

についても社員と一緒に学んでいきたいと思っています。

正しい選択を積み重ねる会社へ

安全第一。

この言葉を掲げるだけなら簡単です。

大切なのは、実際の現場で選択できるかどうかです。

予定が厳しいとき。

面倒なとき。

誰も見ていないとき。

早く帰りたいとき。

「これくらい大丈夫だろう」

と思ったとき。

その瞬間に、

「この選択は本当に効果的か?」

と考えられるか。

私は、そこに会社の安全文化が表れると思っています。

効率は大切。

でも、効果と効率がぶつかったら効果を選ぶ。

自社だけではなく、顧客と社会を見る。

短期だけではなく、長期を見る。

表面的な楽さではなく、本質を見る。

感情だけではなく、客観的に考える。

そして、正しいと思ったことを実行する。

そんな判断ができる人を、一人ずつ増やしていきたいと思っています。

それが社員自身を守る。

仲間を守る。

お客様を守る。

会社の信用を守る。

そして、私たちが携わる日本の通信・電気・インフラを、安全に支えていく力になる。

アクトはこれからも、

「その判断は効果的か」

を問い続けながら、長期的・本質的・客観的に正しい選択を積み重ねる組織を目指していきます。

人が育てば、組織は変わる。
組織が変われば、お客様へ届けられる価値が変わる。
その価値が、建設業の未来を変えていく。

私たちアクトは、人づくりを通じて社会へ価値を届け続けます。