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安全ルールは「守れ」だけでは伝わらない。未経験者を 育てる電気工事会社が「なぜ」まで教える理由

今回は、電気工事・電気通信工事を行う株式会社アクトが、新入社員への安全教育で「ルールを守る」だけではなく、「なぜそのルールが必要なのか」まで伝えている理由をお伝えします。
未経験者が自分と仲間を守れる技術者へ成長するために、会社としてどのような教育環境をつくっているのかをご紹介します。

代表の佐々木です。

最近、アクトでは未経験から入社してくれる仲間が増えています。

直近でも未経験者2名を採用しました。

そのうちの一人は、今回が初めての就職です。

電気工事も未経験。

電気通信工事も未経験。

社会人として働くこと自体が初めてです。

こういう社員を迎えると、会社側も改めて考えさせられます。

私たちは、何をどの順番で教えるべきなのか。

現場へ連れていって、

「先輩を見ながら覚えて」

だけで、本当にいいのだろうか。

もちろん、現場でしか学べないことはたくさんあります。

しかし、現場に出る前に会社として伝えなければならないこともあります。

特に、安全です。

私は安全教育について、

「これはルールだから守ってください」

だけでは足りないと思っています。

なぜ、そのルールがあるのか。

なぜ、そのやり方をしなければならないのか。

守らなかったら、何が起きる可能性があるのか。

そこまで理解して、初めて本当の意味で安全に対する知識が身につき始める。

だから私は、新しく入った社員にも、

「なぜ?」まで伝える安全教育

を大切にしています。

未経験者を採用するなら、会社にも責任がある

「未経験歓迎」

求人ではよく見る言葉です。

アクトも未経験者を採用しています。

私は、未経験者が建設業へ入ってきてくれることを嬉しく思っています。

でも、会社が「未経験歓迎」と言うのであれば、その後のことまで考える必要があると思っています。

未経験なのですから、知らなくて当然です。

建設現場で使われる言葉も分からない。

道具の名前も分からない。

安全ルールも知らない。

仕事の流れも分からない。

何が危険なのかすら分からないことがあります。

そこで、

「そんなことも知らないの?」

と言っても仕方がありません。

知らない人を採用したのは会社です。

だったら、

知らない状態から、どうやって一人前へ近づいてもらうか。

そこまで考えることが、未経験者を採用する会社の責任だと思っています。

入社したら、すぐ現場ではない

今回の新入社員については、まず人事担当による研修を約2.5日行いました。

社会人としての基本的なルール。

会社というものの仕組み。

ビジネスで使われる言葉。

ビジネスマナー。

そして、

アクトが何を大切にしている会社なのか。

どこへ向かっているのか。

どのような考えで社員を評価しているのか。

会社の理念やビジョン、評価制度についても伝えています。

技術だけ教えればいいとは考えていません。

これから働く会社が、

「何を大切にしているのか」

を知ることも大切だからです。

そのうえで、安全や現場に関係する教育にも約3.5日かけました。

合わせれば、約6日間です。

もちろん、6日間研修したから一人前になるわけではありません。

むしろ、ここがスタートです。

でも、

何も知らない状態のまま現場へ出すのと、最低限の知識と考え方を持って現場へ出るのとでは、大きな違いがある。

私はそう考えています。

「安全第一」と言うだけなら簡単

建設業では、

「安全第一」

という言葉をよく使います。

アクトでも当然、安全は非常に重要です。

最近はヘルメットにも安全に関するステッカーを貼り、日常的に安全を意識できるような取り組みも行っています。

ただ、

「安全第一!」

と言っているだけで事故がなくなるのであれば、誰も苦労しません。

重要なのは、その言葉を実際の行動に変えることです。

例えば、

なぜ指差し確認をするのか。

なぜ墜落制止用器具が必要なのか。

なぜ決められた手順を守るのか。

なぜ作業前に確認するのか。

なぜ危険箇所を共有するのか。

一つひとつには理由があります。

だから、安全教育でも、

ルールそのものだけではなく、そのルールが存在する理由まで理解する。

そこを大切にしています。

「言われたからやる」から卒業してほしい

私は、社員に最終的には自分で考えられる人になってほしいと思っています。

ただし、安全について、

「自分で考える=自分の好きな方法でやる」

ではありません。

ここは非常に重要です。

守らなければならない安全ルールは守る。

決められた基準を勝手に変えない。

そのうえで、

なぜ、そのルールが必要なのかを自分の頭で理解する。

そして、ルールの範囲の中で、

「もっと危険を減らせないか」

「ここも確認した方がいいのではないか」

「仲間にも伝えた方がいいのではないか」

と考える。

ここまでいけば、

「会社から言われたから安全活動をする」

ではなくなります。

自分と仲間を守るために、自分から安全な行動をする。

私はそこを目指したいと思っています。

実際に登ってみなければ分からないこともある

安全教育では座学だけではなく、訓練用の柱を使った昇降訓練も行っています。

実際に装備を身につける。

実際に柱を目の前にする。

実際に身体を動かす。

そうすると、資料を読んでいるだけでは分からなかったことが見えてきます。

「ここで身体が不安定になるんだ」

「この動作をするときに注意が必要なんだ」

「だから、この手順になっているのか」

知識と経験がつながっていきます。

安全に関する座学、必要な特別教育、実地での訓練、理解度の確認。

できるだけ一つひとつをつなげたいと思っています。

資格や教育を受けたという「記録」をつくることが目的ではありません。

現場で自分を守れる知識にすることが目的です。

情報とは最大の武器

安全教育をしていると、私はいつも思います。

情報とは最大の武器です。

危険を知らなければ、避けることができません。

正しい方法を知らなければ、間違っていることにも気づけません。

事故が起きる可能性を知らなければ、

「これくらい大丈夫だろう」

と判断してしまうかもしれません。

正しい安全知識がない状態では、自分自身を守ることができません。

そして、自分を守るための知識がなければ、仲間を守ることも難しい。

だから、

「知らなかった」

をできるだけ減らす。

会社が持っている知識を伝える。

先輩が経験から学んだことを伝える。

事故や失敗から得た教訓を基準にする。

曖昧なものがあればマニュアルにする。

私は、これも会社の責任だと思っています。

「見て覚えろ」だけでは、組織の知識にならない

建設業には、経験によって身につく技術がたくさんあります。

私は、それ自体を否定するつもりはありません。

職人の経験には非常に大きな価値があります。

しかし、

「あの人は知っている」

だけでは、会社としては弱い。

その人が休んだら分からない。

人によって教える内容が違う。

先輩によって判断基準が違う。

新人は誰を信じればいいのか分からない。

それでは組織として知識が蓄積されません。

だからアクトでは最近、

曖昧な基準をできるだけ見えるようにする

ことに力を入れています。

気になることがあればマニュアルをつくる。

写真で示した方が分かるなら写真を使う。

OKとNGがあるなら、できるだけ明確にする。

そして全員で共有する。

個人が持っている経験や知識を、

会社の共通財産に変えていく。

これが標準化だと私は考えています。

マニュアルを増やすことが目的ではない

もちろん、マニュアルを100個つくれば良い会社になるわけではありません。

大切なのは、

なぜマニュアルをつくるのか

です。

社員を細かく管理したいからではありません。

迷う時間を減らしたい。

人による品質のバラつきを減らしたい。

失敗を繰り返したくない。

安全を高めたい。

そして、新しく入った人が成長しやすい環境をつくりたい。

そのために必要なものを基準化しています。

最近では、現場以外の写真提出業務についてもマニュアルをつくりました。

これまでリーダークラスが中心に行っていた仕事ですが、少しずつ慣れてきたメンバーにも経験してもらっています。

マニュアルがあるから、任せやすくなる。

基準があるから、本人も挑戦しやすくなる。

標準化と人材育成は、別々のものではないと思っています。

資格取得にも「順番」がある

アクトでは、社員が取得する資格や教育についても整理を進めています。

入社したばかりの人。

少し現場に慣れてきた人。

一人でできることが増えてきた人。

リーダーを目指す人。

それぞれ必要な知識や能力は違います。

だから、

「資格を取りたい人は各自で取ってください」

だけにはしたくありません。

この段階では、まずこれを学ぶ。

次にこの資格を取得する。

このレベルになったら、こういう実務も経験する。

さらに成長したら、次の役割へ進む。

そうやって、少しずつ成長の道筋を見えるようにしています。

資格を取ることが目的ではありません。

資格は、その人が次の仕事へ進むための一つの武器です。

知る、分かる、行う、出来る、分かち合う

アクトのメンバークラスでは、成長を5つの段階で考えています。

知る。
分かる。
行う。
出来る。
分かち合う。

安全教育も同じです。

ルールを「知る」。

なぜ必要なのか「分かる」。

現場で実際に「行う」。

自分で確実に「出来る」。

そして、経験を積んだら次の人へ「分かち合う」。

私は、この最後の「分かち合う」までいってほしいと思っています。

一人だけ安全になればいいわけではありません。

自分が身につけた知識によって、隣の仲間も守れる。

後輩へ伝えられる。

チーム全体の安全レベルを上げられる。

そこまでいけば、一人の成長が組織の成長になります。

安全を守る人から、安全をつくる人へ

私は社員に、

ただルールを守るだけの人になってほしいわけではありません。

もちろん、最初は守るところからです。

でも経験を積んだら、

「ここは危険じゃないか」

「このやり方では分かりにくい」

「この基準を決めた方がいい」

「新人にも共有した方がいい」

と気づける人になってほしい。

そして、気づいたら発信する。

改善する。

仕組みにする。

そういう人が増えれば、会社の安全文化そのものが強くなります。

安全担当者だけが安全を考える会社より、

全員が安全を考える会社の方が強い。

私はそう思っています。

安全と品質は別々ではない

安全について考えることは、品質にもつながります。

決められた手順を確認する。

事前準備をする。

作業前に危険を想像する。

一つひとつ確認する。

分からないことを相談する。

これらは安全のために必要ですが、品質を高めるうえでも重要です。

忘れ物が減れば手戻りも減る。

確認漏れが減れば施工ミスも減る。

基準が明確になれば、人による品質差も小さくなる。

安全を本気で考える組織をつくることは、結果として仕事そのもののレベルを上げることにつながると思っています。

安全は「100%」の土台

アクトの経営理念は、

「120%の喜びを提供する」

です。

お客様が抱えている不満・不安・不足を解消し、求められていることにきちんと応える。

まず、これが100%です。

そのうえで、

こちらから提案する。

先回りして考える。

より良い方法を提示する。

お客様がまだ気づいていないところまで考える。

そこにプラス20%の価値が生まれると考えています。

しかし、その前提に安全があります。

どれだけ素晴らしい提案をしても、安全を守れない会社では意味がありません。

どれだけ施工が早くても、事故を起こしてしまえば120%どころではありません。

だから、

安全は付加価値ではなく、価値を提供するための土台です。

安全教育も、人づくり

私は、社員教育を会社のためだけにやっているわけではありません。

もちろん、人が育てば会社は強くなります。

でも、一番成長するのは本人です。

正しい知識を身につける。

技術を身につける。

資格を取得する。

自分で判断できるようになる。

任せてもらえる仕事が増える。

仲間を守れるようになる。

やがて後輩を教えられるようになる。

そうやって自分自身の価値を高めていく。

そして、

自分が身につけた価値で、誰かに貢献する。

私は、仕事を通してそれを実感できることは、働くうえで大きな喜びだと思っています。

未経験からでも、社会を支える人になれる

最初は何も知らなくていいと思っています。

私たちだって、最初から電気工事ができたわけではありません。

最初から安全ルールを全部知っていたわけでもありません。

教えてもらう。

知る。

理解する。

やってみる。

失敗したら原因を考える。

次に実行することを決める。

またやってみる。

それを積み重ねて、人は成長します。

だから会社がやるべきなのは、

「できる人を探すこと」

だけではない。

「できるようになる環境をつくること」

も重要だと思っています。

日本のインフラを支える会社だからこそ、人を育てる

アクトは、電気工事・電気通信工事を行っています。

電気も通信も、私たちの生活になくてはならないインフラです。

私は、どうせこの仕事をやるのであれば、

日本のインフラ構築に本気で貢献できる会社にしたい

と思っています。

そのためには、会社の規模だけを大きくしても意味がありません。

一人ひとりの価値を高める。

安全を理解する人を増やす。

品質を考えられる人を増やす。

自分で考え、行動できる人を増やす。

人を育てられるリーダーを増やす。

そうして組織として提供できる価値を高めていく。

その積み重ねが、社会を支える力になると思っています。

「安全第一」を、言葉だけで終わらせない

ヘルメットに安全第一と書くことはできます。

朝礼で安全第一と言うこともできます。

ルールを掲示することもできます。

でも、それだけでは文化にはなりません。

一人ひとりが、

「なぜ?」

を理解する。

理解したことを行動する。

行動を繰り返して習慣にする。

そして次の人へ伝える。

そこまで積み重なったときに、初めて安全が会社の文化になるのだと思います。

だからアクトは、これからも安全教育を続けます。

資格も取ります。

訓練もします。

マニュアルもつくります。

必要であれば、基準も変えます。

そして何より、

「なぜ、それをするのか」

を伝え続けたいと思っています。

情報とは最大の武器。

正しい知識で自分を守る。

正しい知識で仲間を守る。

そして、その知識を行動に変える。

そんな人材を一人ずつ増やしていくことが、アクトの人づくりであり、私たちが目指す安全な組織づくりです。

人が育てば、組織は変わる。
組織が変われば、お客様へ届けられる価値が変わる。
その価値が、建設業の未来を変えていく。

私たちアクトは、人づくりを通じて社会へ価値を届け続けます。